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QS世界大学専攻分野別ランキング2015 解説記事:物理学・天文学コース編

天文学や宇宙物理学の分野は、様々な観測探査機(巨大赤外線望遠鏡、宇宙望遠鏡<ハッブル宇宙望遠鏡、ケプラー宇宙望遠鏡、スピッツァー宇宙望遠鏡等>)の開発や打ち上げにより大きく発展しました。数光年~数千光年という遠距離にあるため、当分は観測不可能と言われていた ※太陽系外惑星が次々に発見、既に1000以上が確認されています。今後はハビタブルゾーン(生物が生存可能な主星との距離範囲)に位置すると言われる地球大の惑星の発見と詳細が待たれています。太陽系内の惑星探査機も相次いで打ち上げられて、各惑星の観測と調査により、太陽系の成り立ちの秘密が解き明かされようとしています。また、惑星・小惑星・衛星からの有機物の発見等による宇宙生物学(アストロバイオロジー)という新分野の発展も今後期待されています。

素粒子物理学の分野では、各国によって様々な素粒子加速器が開発されています。東京大学宇宙線研究所は超新星爆発のニュートリノ(中性微子)観測施設を開発していることは広く知られています。神岡鉱山にあるカミオカンデ、更に高性能なスーパーカミオカンデによる研究成果が小柴昌俊、梶田隆章両氏をノーベル賞受賞に導きました。宇宙からのニュートリノ観測に成功したことがニュートリノ物理学を大きく発展させました。

※太陽系外惑星の発見・・・1995年 スイス ジュネーヴ大学のマイヨールが ペガスス座51番星の周囲に、質量が木星の半分ほどの惑星を発見。(この業績でマイヨールは本年のノーベル物理学賞の候補と取りざたされていました。)

これら天文学・物理学の分野は莫大な予算のかかる巨大プロジェクト研究です。長期にわたる地道な基礎研究の領域が多いため、政府をはじめとする公的機関の予算援助と国際協力が欠かせません。また、国際的な研究チームを組織するには、研究者に共通語-英語運用能力、多国籍チームを統率するリーダーシップ、多額の予算投入の必要性を説明し、説得する力等のグローバルスキルが必須になります。

ケンブリッジ大学 専攻分野別:2位、総合:3位

イギリスでは ケンブリッジ、オックスフォードが伝統、実力ともに2つのフラッグシップ的大学がですが、あえて言えば、オックスフォードが人文、社会科学系分野が強く、卒業生には政治家、弁護士、等が多い(故サッチャー元首相、現キャメロン首相、ミャンマーの政治家 アウンサン・スーチ 等)のに対して、ケンブリッジは物理学、化学、生命科学に大きな強みを持ち、ノーベル賞受賞者数でもトップのマサチューセッツ工科大学(MIT・USA)と双璧の存在です。

ケンブリッジ大学は、物理学、特に素粒子物理学、宇宙物理学の分野では抜群の強みを発揮しています。アイザック・ニュートン、からスティーブン・ホーキングまで多くのノーベル賞級研究者が多数在籍していました。その学風は今も至って健在です。

スイス連邦工科大学チューリッヒ校 専攻分野別:9位、総合:9位

アインシュタイン以来21人のノーベル賞受賞者を輩出。世界最高レベルの研究・教育を行っているヨーロッパの理工系専門大学の最高峰の一つ。特に先進的、革命的な基礎研究に極めて強く、グローバルな教育研究環境(37%の外国籍の学生、68%の外国籍の研究・教授陣)と相まって高い成果を出しています。修士課程以上のコースの殆どが英語で行われることが、優秀な研究者と学生を集めることに極めて有利であることは言うまでもありません。多くのヨーロッパのグローバル企業が資金援助をしていることも知られています。

東京大学 専攻分野別:11位、総合:39位

シンガポール、香港等の新興国の大学が企業の投資を引き出しやすい応用物理学重視の傾向の中で、後述の京都大学とともに日本の大学のお家芸である理論物理学に強みがあります。東京大学は長年にわたり、素粒子物理学、宇宙物理学等の分野で多くの優秀な研究者を育てています。懸念は日本の経済規模が縮小したときにこうした基礎科学に予算をさくことができるのか? 現時点で、極めてレベルの高いローカル型大学である東京大学がいつグローバル型大学へテイクオフできるのかにあります。テイクオフが遅れれば ダウンランキングは必定です。少なくとも理工系の修士以上のコースは英語で実施、学生、研究者を多国籍軍にすべきです。

ミュンヘン工科大学(TUM) 専攻分野別:14位、総合:60位

ドイツの大学トップ3といえば ルートヴィヒ・マクシミリアン大学ミュンヘン、ルプレヒト・カール大学ハイデルベルクとミュンヘン工科大学(TUM)。他の2大学が人文・社会科学、自然科学、工学等の学部を擁した古い伝統をもった大規模な総合大学であるのに比較すると、比較的歴史が新しい理工学系専門大学です。(それでも1868年創立、1970年に現在の名称に変更)ドイツのイノベーションや先端研究といったらTUMです。17人のノーベル賞受賞者を輩出している超実力派大学です。中でも物理学は群を抜いて強い分野です。

カリフォルニア大学サンタバーバラ校(UCSB)  専攻分野別:17位、総合:129位

UCグループの中では総合ランキングは4位に位置しますが、物理学、化学、海洋生物学等の自然科学系と人類学、地理学、演劇等の人文分野のリサーチが強い専門大学色の濃い州立大学です。青色LEDの研究でノーベル物理学賞を受賞した中村修二氏がUCSBの教授をつとめていることはよく知られています。

京都大学 専攻分野別:18位、総合:38位

京都大学の理論物理学、素粒子物理学は 湯川秀樹、朝永振一郎両氏以来多くの先端的研究をなした世界トップクラスの研究者が多く、応用物理学の分野でも 青色発光ダイオード(青色LED)の研究でノーベル物理学賞を受賞した 赤崎勇氏をはじめとする先鋭な研究者を集める専門大学として研究者を育てる極めてアカデミック学風です。スーパーグローバルユニバーシティ(SGU)に選択されグローバル化を早め、世界レベルの教育・研究をおり多国籍な環境で行って欲しいと思います。

ナンヤン工科大学(NTU) 専攻分野別:43位、総合13位

大躍進のNTUはこの分野でも大幅アップランキング。材料科学等隣接分野、 工学系の応用物理学の分野に力をいれていて、グローバル企業から資金投資 を呼びこみ、世界中から優秀な研究者・教授陣を招聘、研究・教育レベルを向上させています。(外国籍の研究者・教授陣比率:69%、外国籍の学生比率:32%)文字通りグローバル型大学にテイクオフしました。

物理

(続く)次回はビジネス・経営学【Business & Management Studies】を取り上げます。

※「QS世界大学専攻分野別ランキング2015 解説記事:物理学・天文学コース編」は、世界大学評価機関「Quacquarelli Symonds(QS)」が公表している「QS World University Rankings by Subject 2015」のデータに基づいて、記事作成、編集しています。

>QS世界大学総合ランキング2015/16はこちら。

ワールドクリエィティブエデュケーション CEO
オービットアカデミックセンター 代表 後藤敏夫

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